男性の産休?育休の新制度が新設されます!

男性の育児休業取得を進めることを主な狙いとした育児・介護休業法の改正案が今国会で審議入り。4月16日に参議院を通過した。遡れば育休法は1992年に初めて施行され、いく度かの改正を経て現在に至るが、2010年の改正ポイントも「父親も子育てができる働き方の実現」。「パパ・ママ育休プラス」等が新設されたが、あまり浸透せずその後も取得率は微増傾向。2019年は7.48%に止まる。

女性の取得はどの事業所でも当たり前になったが、いわゆる「マミートラック問題」は続き本質的な女性活躍社会になっていない。加えて減らない児童虐待問題、また少子化やジェンダーギャップの議論も加速する中、政府もいよいよ本腰を入れざるを得なくなったという構図だ。

今回の改正では、対象として父親を念頭に置きながら、子供が生まれた直後に通常の育休とは別に取ることができる「出生時育児休業」の制度を新たに設け、子の生後8週までに最大で4週取得できる。問題になっている深刻なママの「産後うつ」問題の予防にもなる。

「産後、日中も夜間も全て一人で育児を担った。夫に協力してもらえていれば」という女性は多い。平成28年度の厚労省の調査によれば、産後うつ病の好発時期は産後4週以内であり、産後は約10~15%の女性にうつが見られ、発症のリスク因子として、ソーシャルサポート不足などが挙げられている。また、新制度では子の出生後8週間に配偶者の出産時と退院時など2回に分けて育児休業を取得できることとした。

従来の制度に加えて「男性産休」のような制度が新しくできるわけだ。これだけ手厚く、世界的に見てもハイレベルの制度が出来ても、男性の取得率が伸びない原因は何か?男性自身の意識は10年前に比べたら格段に変化したが、やはり働き方や取りづらい職場の風土が問題なのだ。

今回の流れの中で、「男性育休義務化」という言葉が使われているが、これは本人への義務化ではなく、企業(事業所)の労働者への育児休業の取得の働きかけの義務化という意味。新制度では、本人の取りやすさを重視し取得申請期限を現行の1か月前から「2週間前」までに短縮。希望すれば休業中に一定の仕事をすることも可能になる。逆に企業には育休の対象者に個別に制度を説明して意向を確認すること、労働者数が1,000人以上の企業には取得率の公表も義務づけた。田村憲久厚生労働相は国会の記者会見で「男性にしっかり育休を取ってもらうためには、環境整備が非常に重要だ。その責任は各企業にある」と強調した。

コロナ禍でテレワークや、飲み会が減って家に早く帰る生活が当たり前に。仕事中心の生活が強制的に引きはがされた結果、男性の意識はさらに変化したように感じる。このような環境変化の中、今回の育休法改正で男性育休がニューノーマルになり、ワーク・ライフ・バランスの浸透によって社員の幸福感が高まり、笑顔の子育て家庭が増えていくことを切に望む。