パパのキャンプは、シェアリングエコノミーで!

キャンプシーズン到来!パパの出番だ!!…みたいなCMとかメディアの特集がよく組まれますが(最近はソロキャンプもあるが)、正直に言うと私は「キャンプは父親育児の王道」という雰囲気に違和感を覚えます。

今はジェンダーフリーの時代。それなのに「パパなんだから頑張ってキャンプしなきゃ!」だなんて、ちょっとステレオタイプな気がします。アウトドアが好きな女性も少なくありませんから、ママ主導でキャンプを楽しむ家庭があってもいいはず。ちょうど我が家はそんな感じでした。そもそも私の一番の趣味はバンドですし、子どもが小さいうちは絵本の読み聞かせを毎晩していました。外に連れ出すにしても、映画館や博物館、水族館、楽器店などが多かった。完全にインドア派なのです。その代わりに妻はアウトドアや外遊びが好きなので、公園や高尾山などへハイキングには妻が主導して子どもと行っていました。

もちろんキャンプで得られるものは数多くあります。インドア派の私でも、天気の良い週末には「キャンプに行きたい!」と思うこともあります。実際に体験してみれば、子どもが自然と触れ合うことの大事さに気づいたり、家族にとってもメモリアルなイベントになることは間違いありません。そこでここでは、ファザーリング・ジャパン(FJ)が過去に行っていたキャンプ活動と私の経験とを交えながら、アウトドアが苦手なパパでも楽しめる『肩肘張らないキャンプ』についてお話しましょう。

FJでは初期の頃、1泊2日くらいのユルい『父子キャンプ』というイベントを開催していました(ママはその日は家でFREEデー。キャンプ参加したママも基本何もやらなくていいというルール)。その時に気付いたのは、「キャンプは〝パパスイッチ〞が入りやすい」ということ。父子キャンプですから、基本そこにママはいません。そうなると遊んでばかりもいられません。子どもにご飯を食べさせたり、おむつ換えたり、着替えさせたり、シャワーを浴びさせたり、寝かしつけやったりといった身の回りの世話を、パパが一人でやることになります。すると、その大変さや面白さに気付くのです。そして母性みたいなものが芽生え、「あぁ、オレってこの子の親なんだなぁ」と、パパスイッチがオンになる、というワケです(日頃やってくれてるママにも感謝しろよ)。

自分の経験からしても、僕みたいに特にアウトドアが苦手なパパには「複数家族で行く」というプランをオススメしたいです。テントを張ったり、外遊びをしたりといったアクティビティは得意なパパに任せてしまえばいいのです。その代わりに自分が得意な事柄、私の場合はギター、読み聞かせなどで子どもを楽しませることができます。これは「パパのシェアリングエコノミー」みたいなもので、数人のパパが得意技をシェアすればラクですし、道具を揃える必要もありません。そのうえ子ども達も多様な経験ができる、というメリットがあるのです。もうアウトドアが苦手なパパが無理して大きなクルマを借りて、コールマンを買い揃えて、事前に勉強して……なんてする必要はないのです。

加えて、子どもの年齢が違った家族同士で行くと、より一層、キャンプが面白くなり、得られるものが多くなるはずです。今は、一人っ子や二人兄弟・姉妹が多いですから、子どもの年齢が違った家族で行くキャンプは、年齢が違うお兄ちゃん・お姉ちゃんと接することで、子どもに変化が現れることがあるのです。

実際にあった話なのですが、「3歳半の息子のオムツがまだ取れない…」と悩むパパが子連れで参加したときのこと。一緒に来ていた他の家の5歳のお兄ちゃんに、オムツをしていることをちょっとからかわれてしまったのですが、なんと!翌日にはオムツが取れてパンツになってしまったのです。そのパパもビックリしてましてが、子どもってそんなもの。親に言われるよりも、友達やよそんちの大人に言われたほうが効果てきめんなのです。彼の息子も、子ども心にも「もうオムツは恥ずかしいなぁ」と感じたのでしょうね。

また参加したパパは、年齢の違う子どもを持つ先輩パパの話を聞くことができ、なんかメンターのような存在を獲得した気分になれるし、先輩パパの側からすれば、自分の子どもより小さな子どもを見ると、「この頃が懐かしいな~」なんて言って遊んだり可愛がってくれるので、それはそれで子どもも楽しいのです。

というわけで、虫が嫌いでアウトドア苦手なインドア派のパパ、義務感でキャンプにコストかけているパパにはぜひ、複数のパパ友家族とアウトドアを楽しんでいただけたらと思います。その際には必ず一人、キャンプ大得意なパパ(ダッチオーヴンとか持ってる奴)をメンバーに含めることを忘れずに!