プレパパを探せ!男性育休促進の鍵はこれだ

イクボス企業同盟の定例会をオンラインで開催しました。大企業40社ほどが参加。改正育休法の可決成立ニュース後だったので、「どうすれば企業で男性育休を増やせるか?」という話題で自然盛り上がりました。

しかし、そこで一つの課題が浮き彫りに。多くの企業担当者が述べていたのが、「社内のどこにプレパパがいるのか把握できない。判らないと取得の支援ができない」ということでした。

そう、今回の法改正のポイントの一つは、「育休取得対象の男性に対して、企業サイドは制度について説明し、取得の意向を個別に確認することが義務化された」ことだ。これは男性の育休取得を妨げる壁となっているのが「職場の空気感」だったからで、事実、調査では育休を取得しなかった理由では、「職場が育休制度を取得しづらい雰囲気だった」が5人に1人に上る。制度説明や取得意向確認の(企業への)義務化はこうした情況を解消することが目的なのた。

しかし、子どもが生まれる予定の男性社員が「実は子どもができまして・・・」と、上司や人事部に言わない限り、それは社内で認識されない。女性の場合は身体的な変化や検診で休んだりすることで周囲もなんとなく判るだろうし、そもそも「自分が産育休を取ること」は自明の事なので、早くから職場の同僚や上司に伝え相談するだろう。

けれども男性の場合は、女性のようなサインが出ないから周囲には判りづらいし、「育休を取ろうかな」と考えない限り早くから上司に切り出すことはない。うれしさ余って隣席の同僚にポロっと言うかもしれないが、「よかったですね!おめでとうございます」くらいの反応で、プライベートなことなので同僚もそのことをわざわざ管理職や人事にフォワードしないし、「育休取るんですか?」と期待感持って訊かれることもまだ日本の職場では稀だろう。またそもそも「育児をやってくれる人がほかにいるから」と育休など考えもしない人、「収入が減るのは嫌だな」「職場や顧客に迷惑をかけるかな」とモヤモヤしまう人や、「やっぱりうちの会社じゃ無理だよな」と、ハナから諦めている男性は、自分がプレパパであることを喧伝はしないだろう。

企業担当者は言う。「今回、『申請期限は2週間前でもOK』という法改正事項があるが、直前で言われても働く現場は困惑するだけ。業務や人員のやりくりを算段するためにも、なるべく早く、できれば2か月前には申告して欲しい」と。また、「男性の場合は産まれてから扶養家族が増えたことや健康保険の変更申請で、初めてお子さんが生まれたことが判ることが多いが、育休取得促進という点では遅い」と。まあ、そこからでも制度の説明は可能だが、もともと取得にネガティブだった男性には、そのタイミングではあまり刺さらないだろう。

ではどうすればいいのか?

解決のアイデアは会議でもいろいろ出たのだが、私なりにパートナーが妊娠中の男性社員を探し出す「プレパパ検出法」をまとめて以下に示したい。

企業内で「プレパパ講座」や「両親学級」を毎月常設化し、プレパパ社員の申込者を待つ。つまり網を張って魚を捕まえるというやり方。

行政(保健所)が平日の午後に開催する両親学級に参加することを日頃から職場で推奨し、その場合は有給休暇OKとする。そもそも有休の理由を言う必要はないのだけれど、言い出せない人からしてみれば上司からそう言われれば安心して休むから、そこで判明する。

早期に申告してくれた人にインセンティブをつける
「お祝い金」「ボーナス上積み」の現金プレゼント、もしくは「紙オムツ半年間分」や「絵本10冊買える図書カード」「家事代行のプリペイド券」など現物支給が、パートナーも喜ぶと思うので効果的なのではないかと思う。そのインセンティブが魅力的であれば当事者の男性もパートナーに伝えるだろうし、「夫の育休は不要」と思っている妻の意識も揺さぶる事にもなる。

 

とりあえず以上です。まあどれもコストかかるのだけれど、ただ闇雲に「育休取りましょう!」という掛け声だけでなく、こうした取組をすることでプレパパが可視化され、対象者にピンポイントに働きかけることが容易になれば男性育休は増えていくだろう。企業によっては方法はまだ他にもあるだろうし、国も法律改正の目的を達成するには、「プレパパ検出法」を事業所に広く推奨してほしい。

法律が変わったからといって世の中はすぐには変わらないが、どこを攻めればレバレッジが効くかを考え続けて提案していきたい。

プレパパを探す!まずはこれこそが男性育休取得促進の鍵だと思う。

#男性育休は社会を変えるボウリングの一番ピン