育休法改正で思うこと

12年ぶりの大幅な育休法改正が6/4国会で可決成立。これは「日本版パパクオータ制」の実現をずっと掲げていたファザーリング・ジャパン(FJ)の念願でした。

🔗改正育休法成立、知っておきたい“男性育休“5つのポイント(Business Insider Japan)

男性育休問題にスポットライトがあたり、法改正に至ったことは確かに大きな前進。ただ、「法律が変わったから育休取らなきゃ・取らせなきゃ」ではなく、そもそも育休を取ることが目的でもないので、パパたちには、育児の本質(喜びや家族の幸せ=父親であることを楽しむ生き方)をセミナー等で伝える中で男性育休の意義も伝えていきたい、と考えます。

あと、ママ達からの告発が後を絶たない、「#とるだけ育休 」「#夫ゴロゴロ問題」は今後も少なからずあると思うので、イマイチ主体的になれない(悪気はないがOSが古い)男性には、「プレパパ講座」を以って「父親になるだけでなく、父親をする」ことの重要性とそのメリットを事前(育休前)に伝えていきたい。というか、「産前講座の受講」こそが、法改正とともに自治体や企業で義務化の方向に向かうといいと思う。

「教育によってしか社会は変わらない」という言葉がある通り、父親たちにはまず「正しい情報」を教え、親としての自律性・積極性・責任感を促すことが重要。じゃないとせっかくの法律改正の理念が骨抜きになってしまい本質的な社会の変革には繋がらないのだ。(女性活躍は進んだがマミートラック問題が相変わらず残っているように)

また父親が働く企業の各種の課題については、以下のように提言したい。

1. 企業風土が変わらない問題

トップが本気度を示すと同時に、社内でイクボス研修を導入し、幹部や管理職の意識と働き方の古いOSを入れ替えて欲しい。社員の誰しもが育休や介護休、病欠を取っても職場が回るように、業務の属人化をなるべく避け、業務フローの見直しや無駄な会議や資料作りを減らすといった日頃からの努力を求める。

2. 4人に一人が遭っているという「パタハラ」問題

これも「男性が育休なんて」といった古いOSの成せる事案が多いと思うので(女性上司の中にあるケースも)、アンコンシャスバイアス除去の研修強化や「パタハラ」に特化したカリキュラムを入れ、危機感を醸成して欲しい。

3. 給料が減るのを嫌がって取得しない男性社員が多い問題

大企業の制度にある「出産特別休暇(だいたい給与100%給与保障)」の運用を新制度の「男性産休」にも割り当て方がいい。じゃないと特別休暇や「余っている有給休暇」を使えば「育休なんか取る必要ないじゃん」という男性が多ければ、本当の育休制度が形骸化してしまうからだ。業務評価への影響も含め、この点は先進企業・積水ハウスの「イクメン休業制度」に倣うといい。

4. 中小企業では無理だろ?問題

困難な中小(零細)企業もある事は事実だが、その理由は「中小だから」ではないはず。現に新潟県のサカタ製作所(従業員150名)のように、残業ゼロや男性育休100%を達成した中小企業もある。つまり、大手でも中小でも経営者次第で「取れる企業」と「取れっこない企業」に二極化しているのだ。

こうした成功事例から見ても、「中小企業では男性育休は絶対無理」と言う否定論者に伝えたいのは、「それは経営者の理念次第だ」ということ。社員の幸せ(仕事+暮らし)を願う経営者だったらこう考えると思う。「子どもがいる社員は、どういう働き方を求めているだろうか。わが社の環境はそうなっているのか」と。

 

改正法は来年度(令和4年度)から施行になる。男性自身の意識改革、そして企業のアップデートに期待したい。

最後にパパたちへ。
育休は休みじゃないよ。父親をするトレーニング期間。いろいろなことに気づく学びの期間。笑っている父親になるためのスタートアップだ。

<参考>

先を行く国フランスでは、パパにはママの入院中に3日間の「出産有給休暇」を終え、その後11日連続の「子どもの受け入れ及び父親休暇」に突入します。この2つの休暇を合わせた2週間が一般的に「男の産休」と呼ばれています。これは2002年に施行され、すばやく社会に浸透。特に世論の反対はなかったそうです。(詳細はこちらの記事を参照

そしてフランスはさらにアップデート!この7月から、現行法では出産時の父親の休暇日数(14日)を2倍の28日とし、そのうち7日間の取得を義務付けると発表した。日本も早く追いつけ~🎸(詳しくはこちら